脳梗塞で右半身不随になった男の軌跡


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カテゴリ:47日間入院生活(9話)( 9 )

2-9 転院先を選ぶ

入院してから2週間以上たったとき

担当の医師よりこれからの見通しの話が合った。

「ここで2・3ヶ月入院し、杖歩行ができたらリハビリ専門病院に移りましょう」

近隣にはY病院とT病院があった。 担当の医師は、近くT病院に異動するという。



社会復帰にはとにかくリハビリ。

リハビリ専門でないこの病院に入院し続ける事には家族も不安を覚えていた。

社会復帰を望む家族は、本格的なリハビリを受けたかった。


すぐに母は忙しい時間を縫って、見学に行った。

   Y病院は、リハビリ室が3つあり療法士は5名、患者は4~50代が多かった。

   T病院は、リハビリ室が大きくて新しいが療法士は21名、患者は老人ばかりだった。

      どちらも総合病院の中なので、 

      リハビリ時間は1日30分から1時間、土日休みとなってしまう。

結局はどこへ行っても自分次第ということなのだ。



そんな時ケースワーカーよりリハビリの専門病院を紹介してもらった。

Iリハビリテーションは、リハビリ専門で、

新しく建物も綺麗で、設備も整っているようだった。


近所に住む看護士をされている方に相談するとIリハビリテーションを薦めてくれ、

心の中で専門病院が良いのではと独りで悩んでいた母は、

背中を押されたように安心して決めた。



入院36日目、Iリハビリテーションに外来受診に出向いた。

施設の広さ新しさに父も満足し、

付き添いした母も私も明るい院内に、明るい未来を少しだけ感じた。


入院待ちが多く、2週間ほど待たなければならないと言われたが、

入院48日目にして無事、リハビリ専門病院へと転院できることになる。



・・・しかし、転院後、

家から遠く渋滞しやすい道で、病院まで車で60分かかり、

母はますます時間に追われた。

かくして壮絶な毎日はまだまだ続くのであった。


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by higeji-musume | 2009-02-01 17:30 | 47日間入院生活(9話)

2-8 入院1ヶ月が過ぎる頃

脳梗塞で病院に担ぎ込まれて1ヵ月。

梗塞は運動の神経だけを直撃し、麻痺は強いが、その他の部分に梗塞はない。

入院生活も1ヵ月過ぎれば慣れて落ち着いていくだろう

……と娘は思っていた。


だけども現実は、まったくの逆だった。

父親の精神はますます不安定になり、

夜は死の恐怖からか取り乱すこともあり、看護士達の手をわずらわせた。

夜は眠れず、昼間は眠気でぼーっとし、自己リハビリも進まず母をあせらせた。



入院生活というのは、ただでさえ苦痛に感じるものらしいのに、

加えて再発への恐怖、復帰できるかの不安、家族のプレッシャー、

そんなものが父を壊していたのかもしれない。



家族のいない時間、大の男が看護士の手を焼かせているかもしれない、

それを思うことは家族にもつらかった。


はじめに医師からは2・3ヵ月の入院になると言われたが、

そろそろ転院をしたほうがいいのかもしれない。

現状を変えなくては!    ・・・そう思う家族がいた。



入院してから1ヶ月経っても、

本人と家族の、脳梗塞との戦いはまだまだ続いていたのだった。




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by higeji-musume | 2009-01-29 15:24 | 47日間入院生活(9話)

2-7 娘の存在

「もういっちょうコイや!」

「またぁ?」

「よっしゃ、短冊いって動物いって猪の鹿蝶もや!」

「ああー、また負けたー」


病室に似つかわしくない会話が飛ぶ。

ここは国立病院、大部屋。

声の大きさに母が周りを気にして顔をしかめた。


病室での花札は、脳梗塞で倒れるまで交流の少なかった父と娘の憩いの時間をもたらした。

札を下に並べ、動く左手を器用に使う父を見ながら「これもリハビリ」と娘は母に笑った。



「体調はどうですか?」

看護士さんの声が聞こえ振り向くと、先生がにこやかな顔でこちらを見ている。

診察の時間だ。

「今終わりますっ!」  「いいですよ」

病室で花札に興じる不謹慎な親子を笑顔で待ってくれる若い先生だった。



「顔色良さそうですね」  「連勝や!」
 

花札で大勝ちした日の父の血圧は比較的落ち着くことが多かった。


そして翌日もリハビリと血圧安定の為と、花札用の座布団を用意し、

父と娘のひと勝負が始まる。



とにかく今楽しめることを楽しんだらいいんじゃん。

父の入院中の娘は、いつもどおりの末っ娘だった。



突然の脳梗塞にとまどう夫婦に、こんな無責任な娘も時には必要だったのかもしれない。

…と勝手に自分の存在価値を感じている娘です。(笑)

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by higeji-musume | 2009-01-19 15:48 | 47日間入院生活(9話)

2-6 母の不安

夫は59才定年直前、子供二人は巣立ち、第二の豊かな人生を夢みはじめた妻にとって

いきなり夫が脳梗塞で倒れたことは、まさに青天の霹靂であったことだろう。



父が病院に担ぎ込まれてから1週間、母はほとんど寝ていなかった。

食事さえもほとんど喉を通してなかった。

夜がくるたびに不安がる父をなだめ、

昼間には父の体をさすり続けた。

病院と家を往復し、洗濯や買い物をすませ、

父の会社関係や知人友人への連絡。

そしてその合間には脳梗塞に関する本を集めひたすらに読んでいた。



父の入院中、母の不安はいかほどだったのか。

今自分が妻の立場になってようやくわかる気がする。


脳梗塞を乗り越えるには?社会復帰させるには?

設立したばかりの夫の会社はどうするの?

入院費用はこれからどのくらいかかるのか?

押し寄せてくる将来の不安との戦いは、ある意味父以上だったかもしれない。


突然の脳梗塞は本人と妻を不安の海に突き落としたのだった。



国立病院に入院していた47日間は

不安と戦いながらただひたすらにがむしゃらに目の前の事をこなしていった母だった。


いつ母が倒れてもおかしくない状況であったと思う。

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by higeji-musume | 2009-01-14 22:29 | 47日間入院生活(9話)

2-5 リハビリは自主練習

救急車で担ぎこまれた国立病院に、47日間入院。

病院にはリハビリ室があり、療法士の先生がいる。



しかし、病院のリハビリテーションは土日は休み。

加えて患者数に比べ、先生の人数が少なく、

身体の動かぬ者や何をしていいか分からぬ者は、

ただ先生が回ってきてくれるまで待っているだけだった。



このままでは右腕が完全に固まってしまう!動かさなきゃ!

何もしなかったら脳まで止まってしまうんじゃないか!?

そんな不安と焦りが家族に襲い掛かった。




そこで毎日、病室や廊下で自分達なりのリハビリを開始した。

とにかく声を出そう。歌をうたおう!!

石原裕次郎が好きだった父が廊下で歌をうたう。

不思議なことに音痴な父の音程が心なしか合っているのだ。


妻のマッサージも有効だった。

手足をさすると、冷たく固くなった右半身に再び命の灯りがともるようだった。


親しいご近所さんに看護士さんがいたので、自分で出来る運動を教わったりもしたが、

本人のやる気を引き出せていなかったので、なかなか実行されていないようだった。




まさに「リハビリとは自分との勝負」であった。

本人しだいでその後の明暗を分ける。

家族は本人のやる気が見ないと焦り、とにかくリハビリをして欲しいと切望した。

しかし家族の要求がきつくなりすぎると、父の精神はまた不安定になってしまった。

リハビリは家族の葛藤」でもあったのだ。





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by higeji-musume | 2009-01-11 23:05 | 47日間入院生活(9話)

2-4 失ったものと得たもの

情緒を操作する部分は心臓ではなく脳にある。

心は胸ではなく脳にあったのだ・・・。

父親が脳梗塞で倒れてから、家族はこのことを深く思い知らされた。


梗塞は父親の感情のコントロールを奪い、精神を不安定にさせた。

今まで問題が起きても「どっちゅうことない」と周りの人達を引っ張っていく男であった。

罪を憎んで人を憎まず、ニンキョウの世界だの、義理と人情だの、強く優しくと生きてきた。


それが脳梗塞によって、もろくも崩れ去ったのだ。

バランスを失った精神は、本人にも家族にも最悪な状態を生み出したりもした。

体の不自由だけでない脳梗塞の恐さがそこにあった。



しかし、倒れて失ったものばかりではなかった。

子への父性の芽生え

妻への感謝

謙虚な気持ち

当たり前の生活や食事がどんなにすばらしいものか気付く

入院生活で酒とタバコの入っていない健康な体・肌ツヤ


そう、得たものだってある。


そういうことにも目を向けよう。

最悪なことばかりじゃない。

それを書き記すことが、娘の役目だと思った。


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by higeji-musume | 2009-01-09 15:25 | 47日間入院生活(9話)

2-3 男の涙

男は泣くもんじゃない。

父親を戦時中に亡くし、祖父に育てられた。

祖父の教えは・・・「男は泣くもんじゃない」

猪突猛進に生きてきた男は、この祖父の言葉をずっと守ってきた。

子の前はもちろん、妻の前でも、涙など見せた事がなかった。



しかし梗塞は感情を司る部分にも直撃していたようだ。

見舞いに来た娘が帰る頃になると、毎回のように「幸せになれよ」と涙ぐむ。

嫁入り前の娘がいるのに、こんな体になってしまった父親の後悔か、無念か・・・。

「全然私は不憫な子じゃないからさ。」と娘はその度に笑った。

息子のほうは結婚式直前だった。

父親に式に参加してもらうため、式を延期することを決めた。

「結婚前に親父と二人で温泉旅行でも行って語り合うと思ってたんだ」

息子の言葉についに、今まで守り続けて泣かなかった男が泣いた。

妻が初めて見る姿だった。

小さい頃から祖父の言葉を守り続けた男の初めて見せた涙は、

家族の温かな言葉だった。



今まで家庭など振り返らない男だったのに、

脳梗塞は「父性の覚醒」も起こさせたのであれば、悪いことだけじゃなかったのかもしれない。

そう思う・・・家族がいた。

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by higeji-musume | 2008-10-17 16:39 | 47日間入院生活(9話)

2-2 スターはスターで

「鏡を持ってきてくれ」

入院道具を調達しにいく娘に初めに頼んだものは鏡だった。



数時間後、鏡を手に取ると、ふむふむ。

しけしげと自分の顔を右から左からと見つめる。

右半身不随、顔も右半分がまったく動かなくなる。話すのも食べるのも困難だ。

顔の右側は崩れ落ちてしまったと思っていたのか、

鏡に映る自分の顔に安堵の表情が表れた。よかった、そんなに変わっていなかった。

いつ何時もスターはスターでなければ…  わが親ながらあっぱれな自意識。



会社からの社命は

「ファンが多いので早く良くなるようリハビリはきちんとすること!」

ファンが待っている!

この男には何よりの励ましの言葉だ。家族が待っているより効果100倍であろう。



しかし見舞い客との面会は極力避けたがった。

今まで広告宣伝マンとしてバリバリ仕事をしていた男は、しゃべりで人を魅了してきた。

それが講音障害でうまく話せない現状、しゃべりができないなら人とは会えない。

今の自分を見せたくはない。

しかし光栄なことにいろいろな人から、見舞いに来たいという連絡をいただく。

これが彼をまた話すリハビリへと駆り立ててくれたのかもしれない。

構音障害=咽喉、舌など発声に要する筋肉の麻痺により、発声が困難な状態 ) 



ベットの上で妻に髭を剃ってもらい、顔を拭く。鏡をみながら髪をなでつける。

いつ何時もスターはスターでなければならないのだ。


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by higeji-musume | 2008-09-18 16:28 | 47日間入院生活(9話)

2-1 今夜が峠だ

国立病院へと運ばれた父は、脳梗塞と診断されそのまま入院となった。

リハビリテーションに転院するまでの47日間をここで過ごすことになる。

______________________________

どんどんと強まっていく麻痺

足は頻繁につり、不安な気持ちだけが募っていく父。

夜には緊張感も強まり、精神的に不安になるようだった。

入院して4日目まで、毎晩、就寝の時間が近づくと

「今夜が峠だ」と家族に訴えた。自分でそう感じるのだそうだ。

不安からそう思うのだろうが、明らかに今までにない父親の姿だった。

母は毎晩、泊まりこみ、足をさすり続けた。献身的に夫に付き添っていた。

介護ヘルパーの資格が、まさかこんなに早く夫に役立つなんて思ってもいなかっただろう。



娘の私は「また峠?」「今日も峠?」と軽くあしらいながら、病室が明るくしようと努めた。

父に対しても母に対しても、いつも通りの娘でいようと。

___________________________________

そして、峠はくることなく、

厳しい現実だけが残り、リハビリが本格的にスタートするのだった。



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by higeji-musume | 2008-09-15 22:57 | 47日間入院生活(9話)